社会心理学

相手から会話を引き出す方法は?

コミュニケーションに対する苦手意識と不安

中高生に限らず、多くの人は、コミュニケーションに対して苦手意識を持っているかと思います。また、その苦手意識が強すぎると「コミュニケーション不安(communication apprehension)」となり、他者とのコミュニケーションを取ることに強い不安を感じることがあります(McCroskey & Beatty, 1986)。この不安は、話し手が自分の発話内容に対して不安を抱くことに関連しており(McCroskey, 1982)、その結果、コミュニケーションに不安を感じている人は、しばしば自分の発話に問題があるために会話がうまくいかないと誤解してしまうことがあります。

会話は共同作業である

しかし、会話は単に話し手だけによって行われるものではなく、聞き手との共同作業であり、聞き手の反応によって会話は大きく影響を受けることが多くの研究から示されています(Beukeboom, 2009; Verplanck, 1955)。実際、Verplanck(1955)の研究では、聞き手が相槌や頷きなどの非言語的な表現や、賛同や言い換えなどの言語的な表現を行うことにより、話し手は同じトピックについて意見を述べ続けることが示されました。逆に、これらの反応がない場合、話し手は同じトピックについて意見を言わなくなることがわかっています。

コミュニケーションを続けるために

この研究を踏まえると、会話を続けるためには必ずしも話し手の話す能力を向上させることに注力する必要はなく、むしろ聞き手としての能力を高めることが重要であると言えます。優れたコミュニケーションを図るためには、聞き手としてどのように反応するかが鍵となります。

聞き手の反応によるポジティブな影響

聞き手が発話を促進する現象は「社会的強化」として説明されています(Kawana, 1986)。具体的には、聞き手が肯定的な反応を示すことで、話し手はポジティブな感情を得て、次回もそのような反応を得るために会話を続けようとします。一方、否定的な反応を示すことで話し手はネガティブな感情を得て、会話の内容を変えるか、会話をやめる可能性があります。

具体的な言語的・非言語的表現

では、聞き手がどのような言語的・非言語的表現を使うことで、話し手にポジティブな感情を与えることができるのでしょうか?

言語的表現

調査によると、以下の4つが効果的な表現として挙げられます:

  1. 賛同(Verplanck, 1955)

  2. 言い換え(Verplanck, 1955)

  3. 質問(Reynolds & Risley, 1968)

  4. 賞賛(Leaf et al., 2014)

これらの表現を適切に使用することが、話し手にポジティブな感情を与えるために有効です。また、自分が話しているときに嬉しい反応を他者に対して示すことも効果的です。

非言語的表現

非言語的表現においても、以下の3つが話し手にポジティブな感情を与えることが確認されています:

  1. 相槌(Verplanck, 1955)

  2. 頷き(Verplanck, 1955)

  3. 笑顔(Verplanck, 1955)

これらの非言語的な表現も、話し手に安心感を与え、会話を円滑に進める助けとなります。

その他の工夫

個人的な意見として、以下のような点も会話をスムーズに進めるためには有効だと思います:

  • 相手の感情に合わせた表情:相手が喜んでいる時には笑顔を、困っている時には共感を示す表情を。

  • 会話スピードの調整:相手の話すスピードに合わせて、適切な速度で話すこと。

  • 声の調整:相手の声の大きさに合わせて、自分の声の大きさを調整する。

これらは必ずしも研究によって証明されたものを見つけたわけではないですが、日常的に行われているコミュニケーションの中で有効な方法かなと思います。

引用文献

Beukeboom, C. J. (2009). When words feel right: How affective expressions of listeners change a speaker’s language use. European Journal of Social Psychology, 39(5), 747–756. https://doi.org/10.1002/ejsp.572

Kawana, Y. (1986). The effects of listener’s social reinforcement on interpersonal attraction in dyadic conversation. The Japanese Journal of Experimental Social Psychology, 26(1), 67–76.

Leaf, J. B., Dale, S., Kassardjian, A., Tsuji, K. H., Taubman, M., McEachin, J. J., Leaf, R. B., & Oppenheim-Leaf, M. L. (2014). Comparing different classes of reinforcement to increase expressive language for individuals with autism. Education and Training in Autism and Developmental Disabilities, 49(4), 533–546. http://www.jstor.org/stable/24582349

McCroskey, J. C. (1982). Oral communication apprehension: A reconceptualization. Annals of the International Communication Association, 6(1), 136–170. https://doi.org/10.1080/23808985.1982.11678497

McCroskey, J. C., & Beatty, M. J. (1986). Oral communication apprehension. In W. H. Jones, J. M. Cheek, & S. R. Briggs (Eds.), Shyness: Perspectives on research and treatment (pp. 279–293). Plenum Press.

Reynolds, N. J., & Risley, T. R. (1968). The role of social and material reinforcers in increasing talking of a disadvantaged preschool child. Journal of Applied Behavior Analysis, 1, 253–262. https://doi.org/10.1901/jaba.1968.1-253

Verplanck, W. S. (1955). The control of the content of conversation: Reinforcement of statements of opinion. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 51(3), 668–676. https://doi.org/10.1037/h0046514

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