特別支援教育

算数障害ってなに?日本における発生頻度は?

先日、親子サークルcoplus+さんが開催された「いぬやま習い事フェス2026」に参加した際、何名かの親御さんから、算数障害(特に数の感覚)に困難が見られるお子さんについてのお話を伺いました。
自分自身、これまで算数障害に特化して学びを深めてきたわけではなかったため、改めて少し勉強してみることにしました。

算数障害は発達障害の一種であり、アメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM-5-TR)に基づくと、その診断指標には、数の感覚、算数的事実の記憶、流暢もしくは精確な計算、精確な数学的思考のいずれかもしくは複数に困難が見られることが挙げられています(APA, 2022)。

数の感覚の困難にはさまざまな症状が存在しますが、例えば「3」という数字が示されたときに、それがどれくらいの数量を表しているのかをうまく捉えられないといった状態を指します。また、算数的事実の記憶の困難とは、簡単な足し算・引き算・掛け算・割り算について、計算結果を記憶して瞬時に答えを出すことが難しい状態のことを指します。

では、日本において、こうした困難を抱える子どもたちはどれくらいいるのでしょうか。
藤岡ら(2024)は、アメリカ精神医学会の診断マニュアルを踏まえ、学校教員を対象とした調査を行っています。その結果、通常学級に在籍する小中学生のうち、以下の割合で算数障害の特徴が見られる可能性が示されています(表1)。

小学生中学生
数の感覚4.40%6.23%
算数的事実の記憶6.39%6.50%
計算の正確さまたは流暢性6.31%7.45%
精確な数学的思考6.97%11.38%

(表1)

これらを踏まえると、算数障害と考えられる特徴を示す児童・生徒は決して稀な存在ではなく、30人程度の通常学級であれば、1〜4人程度は存在している可能性があることがわかります。
また、算数障害かどうかは明確に線引きされるものではなく、算数障害とまでは至らない場合でも、上記の4領域のいずれかに困難を抱えている児童・生徒は少なくないと考えられます。

そう考えると、実際には支援を必要としている子どもたちは、私たちが想像している以上に多いのかもしれません。

少し話題は変わりますが、中学生を指導している中でも、「数の感覚が乏しいな」と感じる生徒さんに出会うことがあります。ただし、それは「1」や「2」といった小さな数の数量感覚というよりも、分数や小数、大きな桁に対する感覚が弱いケースが多い印象です。そのため、そうした感覚を養うための練習に一緒に取り組んでいます。

適切な支援を行っていくと、分数や小数が何を表しているのか、大きな桁の数がどの程度の大きさなのかについての理解が、少しずつ深まっていきます。そうした変化を見ていると、とても楽しいなと感じながら指導しています。

今日の記事はここまで。

次回以降は、数の感覚に特化してどのような支援策が有効と考えられているのかについて、文献を整理しながら紹介していく予定です。

引用文献

藤岡 徹・伊藤 一美・河村 暁・熊谷 恵子(2024).小中高等学校における「算数障害の特徴を有すると教員が認識している児童生徒の割合」および「算数障害の診断を受けた児童生徒の割合」―オープンデータを用いた記述統計分析―.LD研究, 34(2),198–208.

American Psychiatric Association (2022): Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision(DSM-5TR). American Psychiatric Pub, Washington.

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