教科指導を高校で始めました。
「匠塾〜犬山の学習塾〜」塾長の村瀬です。
今まで、高校では総合的な探究の時間のカリキュラム設計・運営をメインでやっておりましたが、ご縁をいただいて、総合的な探究の時間に加えて高校で教科指導をやってみることにしました。教科は免許を持っている「公共」です。
さて、授業をやり始めて、一つ疑問に思ったことがあります。
「板書やパワーポイントで提示したことを生徒に写してもらうことって意味があるのかな?」ということです。
写すことに精一杯で、理解することに頭を使わないと意味がないのではないかなと思ったのです。
そんなこともあり、授業中に生徒がノートを取ることに関わる研究をざっと概観して、板書やパワーポイントを移させる学習活動は本当に学習効果があるのかについて検討をしてみました。
学習者が要約したり、言い換えをすることで学習効果は高まるが、写すことでの学習効果は高くない。
実際に逐語的にノートを取るように指示をうけたノートテイキング群と、ノートテイキングをしなかった群では学習効果に差がないことがメタ分析の結果示されています(Kobayashi, 2005)。
他方、すべてのノートテイキングに学習効果がないかというとそのようなことはなく、習った内容について、言い換えをしたり、要約を学習者が行う生成的なノートテイキングは、学習効果が高まることも確認されています(Gür, 2021)。
さらには学習者が作成したノートだけでは、抜け漏れが多くなるため、学習者が作成したノートに加えて教員の作成したノートの両方を見返して学習すると、学習効果が一番高まることも示されています(Kiewra, 1985; Kobayashi, 2006;)。
以上を踏まえると、板書やスライドを生徒が写すことが重要なのではなく、重要なことは教員の話を聞いたり提示された資料を解釈して自分なりの言い換えや、要約をすることが重要であり、板書やスライドを生徒が写すことの学習効果は高くないことが示唆されます。
というわけで、自分の授業では、板書やスライドを写すノートテイキングはやめて、教員の私が作成したまとめノートを生徒に配布して、そこにコメントを記入してもらう形式にして、写す時間は他の学習時間活動に回して学習効果を高めようと思いました。
参考文献
Gür, T. (2021). The effect of verbatim and generative notes taken by hand and keyboard at university level on success and persistence. Education Quarterly Reviews, 4(3), 132–141.
Kiewra, K. A. (1985). Providing the instructor’s notes: An effective addition to student notetaking. Educational Psychologist, 20(1), 33–39.
Kobayashi, K. (2005). What limits the encoding effect of note-taking? A meta-analytic examination. Contemporary Educational Psychology, 30(2), 242–262.
Kobayashi, K. (2006). Combined effects of note-taking/reviewing on learning and the enhancement through interventions: A meta-analytic review. Educational Psychology, 26(3), 459–477.