「具体物や半具体物のおおよその量の把握」や「小さな数字と量の対応関係の習得」の次のステップとして、今回は「大きな数字が示す量をおおよそ把握する力」に対して、どのような学習支援が有効とされているのかを整理していきます。
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「大きな数字が示すおおよその量の把握」に関しては、数直線を用いた学習支援が多く行われており、その効果も確認されています。Kucian et al.(2011)では、算数障害に該当する9〜10歳の児童を対象に、数字や足し算・引き算の結果などを0〜100の数直線上に位置づけるトレーニングを実施しました(図1)。その結果、大きな数字が示す量をおおよそ把握する力が向上し、さらに足し算や引き算の精度も向上することが示されています。
図1
また、このような数直線上への位置づけトレーニングだけでなく、小さな数字の量理解など基礎的な数処理スキルも含めた包括的なプログラムを用いた研究として、Käser et al.(2013)、Kohn et al.(2020)、Gardes et al.(2022)などがあります。これらの研究でも、算数障害に該当する2〜5年生において、大きな数字が示すおおよその量の把握能力が向上することが示されています。さらに、単純な足し算や引き算の練習を繰り返すだけのプログラムと比較すると、複雑な足し算や引き算の成績がより改善することも報告されています(Gardes et al., 2022)。
以上を踏まえると、「具体物や半具体物のおおよその量の把握」や「小さな数字と量の対応関係の習得」ができるようになった児童に対しては、数直線を用いて大きな数字が示す量をおおよそ捉えるトレーニングを行うことが、数の感覚をさらに発達させていくうえで重要であると考えられます。
いつものように「良いアプリはないかな」と探してみましたが、先行研究で使用されているプログラムの多くは市販されていないようで、一般の人が使えるアプリは見当たりませんでした。
自分で作ってみようかな。
参考文献
Käser T, Baschera G-M, Kohn J, Kucian K, Richtmann V, Grond U, Gross M and von Aster M (2013) Design and evaluation of the computer-based training program Calcularis for enhancing numerical cognition. Front. Psychol. 4:489.
Kohn J, Rauscher L, Kucian K, Käser T, Wyschkon A, Esser G and von Aster M (2020) Efficacy of a Computer-Based Learning Program in Children With Developmental Dyscalculia. What Influences Individual Responsiveness?. Front. Psychol. 11:1115.
Kucian, K., Grond, U., Rotzer, S., Henzi, B., Schönmann, C., Plangger, F., Gälli, M., Martin, E., & von Aster, M. (2011). Mental number line training in children with developmental dyscalculia. NeuroImage, 57(3), 782–795.